STUDENTS NOW! 中村 拓人 さん
一人ひとりの個性を引き出す技術科教員に
学校教育教員養成課程中等教育専攻技術教育コース 4回生
中村 拓人さん
「小さい頃から物を作ったり、音楽、図工などのクリエイティブなことをしたりするのがすごく好きでした」と話すのは中村拓人さん。「クリエイティブなことをするときって、参考となる本を読んだり、頭の中で考えたりするのに国語や数学のような能力も必要で、自然と勉強が身につきました」と言います。
ピアノを習っていた中村さんは、最初は音楽の先生になりたかったそうですが、中学生の頃に、ある技術の先生に出会ったことで、技術の先生をめざし始めます。「その先生は学校の備品を自作してしまう程に創作活動に長けた方で、とても生き生きしていました。そんな姿を見て、こんな大人になりたい、と思いました」
将来の仕事を決めた後、本学を志望校に選んだ理由は、オープンキャンパスに訪れたときに触れた先輩や教員の『人のよさ』だと、中村さんは言い切ります。「どんな質問にも寄り添ってくれる先輩たち、1つの質問に対し数多くの答えを返してくれる先生方、同じ場所でこの人たちと学ぶことができればどうなるんだろう、とワクワクしました」
技術教育コースの魅力を聞くと、中村さんの口から言葉が溢れ出てきます。「定員が少ないからこその濃密さがあります。先生も技術分野にも教育分野にも精通された方ばかりで、1 回生の授業では圧倒されました。専門科目では、木材加工?金属加工?情報?電気などの技術に関わるものに取り組み、作成したものへの評価を受けます。それと並行して、教え方の学習、学習指導案の作成などの教育的な実践も本格的に行います。ここまでどっぷり技術教育に浸れるのはここだけじゃないでしょうか!!」
卒業研究では、本学とPanasonic、東北大学とで共同で行っている、はんだ付け技術に革新を起こすような“新材料開発”に携わっている、とのこと。「基板に電子部品を実装する際、一般にははんだごてではんだを溶かす接合方法が用いられていますが、工業的にはペースト状のはんだを接合部に塗布して加熱することで接合する方法もあります。共同研究では、後者のペースト状はんだの材料開発を行っており、従来よりもより低い温度での接合をめざしています。特に僕は開発段階において見つかった課題の原因解明を担当している他、この開発中のペースト状はんだを中学校技術の授業で利用できないか検討しています」
卒業後は、介護等体験での経験を通じて、特別なニーズを持つ子どもたちを支援したいと思い、特別支援学校の技術科教員になることを目標に、特別支援教育特別専攻科への進学の準備を進めている中村さん。「介護等体験で担当していただいた先生が、子ども一人ひとりの個性を活かすために、どのような授業を展開していくのかを考えることを本当に楽しんでおられました。他の支援学校の先生からは、一人ひとりに向き合うことで、今まで見えなかったことが見えることが多々ある、とも聞きました。大学で学ぶことが本当に好きになったので、社会に出てからも、教えるだけでなく、その過程で学ぶことができる、そんな教員になりたいです」
中学校の頃の技術の先生が言っていた「前を向いても、後ろを向いても誇れる人でありなさい」という言葉を、今でも覚えているそう。「前を向いて子どもたちに教えているときも、後ろにいる部下や後輩を引っ張っているときも、ありたい自分でいられるような人間でありなさい、という意味だと思っていて、将来先生になったときにも心に持ち続けたい言葉です」
ものづくりへの愛を溢れ出させながら、ありたい自分を忘れない姿を体現することで、子どもたちの自分らしさを引き出す、そんな中村さんの姿が思い浮かびます。
「TenYou ―天遊―」vol.55インタビュー&メイキングムービー
(2021年10月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。