ラボ訪問 宍戸 隆之 准教授
すべては?かっこいい?のために
第二部 実践学校教育講座
宍戸 隆之 准教授
スポーツ万能、勉強は大嫌いな子どもだった宍戸隆之准教授は、中学で始めたバレーボールを続けようと進学した福島大学教育学部で、勉強の面白さを知ります。「体育コースがあって、授業で学んだことを、バレーボールにそのまま生かすことができました。強くなるための理論がわかってくると、『あっ面白い』って」。だから自身も面白くない授業はやりたくないと言います。「今は、インターネットで検索すると、情報がすぐに出てくる。だから、ネットであまり検索しないこと、検索しようと発想できないことを狙って講義をする。『そんなの知ってる』と思ったら、聞いてもらえませんから」
実は、教員は一番なりたくない職業でした。「どんなに素晴らしい先生でも、どんなに頑張っていても、粗探しをされて悪く言われる。教職にはそういうイメージがありました」。気持ちが変わったのは、福島県の高校での教育実習がきっかけでした。「最後のハンドボールの授業が終わった時に、『先生ありがとう』って生徒が胴上げをしてくれた。驚きました」。宙に舞いながら、心も舞い上がり、先生ってもしかして気持ちのいい仕事なのかもと思い直しました。同大大学院教育学研究科を修了し、高校教員になります。
宮城県にある高等専門学校に移った後、教員をしながら東北大学大学院医学系研究科博士課程に進学。昼は授業、放課後にクラブ指導をしてから大学へ行き、夜中まで研究しました。「どちらかを辞めたいとは全く思いませんでした。研究は面白いし、仕事とは違う頭を使うので、むしろ息抜きになりました」。博士号を取得後、アメリカ?イリノイ大学で在外研究員として1年滞在します。
博士課程時代から現在まで一貫して取り組んでいる研究テーマは「子どもたちの身体活動と学業成績との関連」です。運動すると脳に刺激が与えられるため、運動後に勉強すると、脳が活性化した状態で学習でき、効率良く学力を伸ばすことができると考えています。「子どもたちに運動させたいけれど、体力がつくとか健康になるからとか言っても誰もやらない。だから運動すると頭が良くなるよと言ったら、みんなやる気が起きるんじゃないか」。現場の先生たちが感覚でわかっていることを正確なデータで示し、論文にしたいと意気込みます。
授業や研究の傍ら、女子バレーボール部のコーチをしています。「試合で勝ちたい、ならばどういう練習が必要か、どういう指導をしたら上達するのか。きちんと話し、指導できる。教育現場で、大教の女子バレーボール部の人ってこんな風にできるんだって思われたい」。勝つことよりも、将来教育現場で指導者として活躍できる選手を育成することに主眼を置いています。
学生には、どんなことでもいいから本気になって欲しいと望みます。「本気になるということがどういうことなのかを体験してくれたら、もっといい先生になる人が増えると思います。授業、クラブ、バイト、いろんなことを中途半端