卒業生CATCH! 大島 浩文 さん
学校で体験できない感動を!科学を身近に楽しく!
教養学科 自然科学専攻 2011年3月卒
科学実験教室「サイエンスラボ」講師
大島 浩文さん
透明な液体の入った試験管に水をかけると、キラキラと雪の結晶が生まれて舞い出しました。「塩化アンモニウムの再結晶実験です。飽和水溶液を冷やすと、溶けきれなくなったものが結晶となって現れるのです。きれいでしょう?」
株式会社アップが運営する「サイエンスラボ(以下ラボ)」は、“身近な不思議から科学に親しむ”をコンセプトに、大阪?兵庫?奈良?京都で科学実験教室を展開しています。大島浩文さんは、上本町校の講師として、保育所?幼稚園の年中から中学生まで、約400人に科学の面白さを伝えています。
ラボの特徴は、学習指導要領に則らない独自のカリキュラムを組んでいること。「学校の指導要領は参考にしていますが合わせることはありません。例えば指導要領で小学5年生となっている「水溶液」を、小学1年生の最初の実験で学びます。ものが水に溶けるしくみはとても重要で基本となりますから」。授業の流れは、予測→実験→考察の手順で進行します。「年長の浮き沈みの実験でいうと、野菜を使ってどれが浮いて、どれが沈むか子どもたちに推察させ、実際に水につけて確認し、何が違うかを考えていく流れです」。まずは子どもたち自身で考え、実践するのが基本です。
ラボへの入校理由で多いのが、保護者からの「実験をさせてあげたいけれど環境がない」という声です。ラボでは、上皿天秤や顕微鏡のような学校にもあるものから、大学の研究室にしかないようなものまで、幅広い実験器具を揃えています。「ここでは毎回正しい実験手順をしっかりと説明するため、子どもたちは実験に夢中になりながら、自然に実験器具の扱い方や実験技術を習得します」。実践して、楽しく知識を身につけられるところも支持されているようです。
「学校と違い、多くの子どもたちを担当できることにやりがいを感じます」と語る大島さん。子どもたちへの接し方は、「目を見て話す、ダメなことはダメとはっきり言う、頑張ったら褒める、の3つを軸にしていますが、どういう指導法が一番響くのかはまだまだ修行中です」と苦笑い。ただ、「実験を通して子どもの意外なこだわりを見つけたり、コミュニケーションの苦手な子が一つのきっかけでスムーズに話せるようになったりと、授業のたびに毎回新たな発見があって嬉しい」と顔をほころばせます。
本学に入学したのも、教師になって理科好きの子どもを増やしたいからでした。しかし4回生になり、「理科の楽しさを伝えるのは教師だけとは限らない」と考えるようになりました。「大教大の良いところは、教師になった人や企業就職した人からいろんな情報が集められることです」。さまざまな人に相談した結果、自分の可能性を広げるために、企業就職の道を選びました。教育業界を中心に就職活動して現在の会社に入社し、「毎日仕事をするのが楽しくてしかたがない感じです」と笑います。
現在の仕事と教師では何が違うか尋ねたところ、「カリキュラムを自分たちで考えて、それを直接子どもたちに伝えられること」と答えました。「ラボでは『自由研究コンクール』を開催しています。子どもたちの自由研究をサポートするのが始まりだったのですが、作品の中から優れたものを審査して表彰しようという動きになって、向井康比古先生(本学副英皇娱乐_棋牌现金网-平台*官网)にも審査員を務めてもらいました。教育機関や企業に働きかけてつながりが生まれるのもこの仕事の魅力です」と語ります。
ラボの学びをもっと多くの子どもたちに伝えていきたいという大島さん。「子どもたちから学ぶ部分も多く、その思考の柔軟さにはいつも驚かされます。いつか、ラボの子どもたちの中からノーベル賞受賞者が生まれるように、もっと科学を好きになる心を育くんでいきたいです!」
(2015年12月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。